犯罪・刑事事件の解決事例

共有物分割請求に対し、相手の持分を買取ることで解決。工夫により買取額を抑えました。

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加藤 尚憲 弁護士が解決
所属事務所東京西法律事務所
所在地東京都 杉並区

この事例の依頼主

70代

相談前の状況

兄弟間で共有していた一棟のアパートがありました。ご相談者が管理して来ましたが、新築時のローンの返済が終わり、抵当権の登記が外れたとたん、他の兄弟から弁護士名義の内容証明で共有物分割請求を受け、物件を売却するよう求められました。ご相談者は、相手の持分を買取るか、物件を売却して代金を分けるか、どちらかを選ばなければなりません。ご相談者は物件を大切にメンテナンスしてきたため、築年数のわりに状態が良く、売却するのは勿体ない状況です。かといって、相手の持分を買取るだけの手元資金もなく、相談者は途方に暮れていました。

解決への流れ

(1)解決方針このケースでは、3人兄弟で相続した物件を共有していたのですが、幸い、20年以上前にご相談者が1人分の持分を買い取っていたため、残りの持分は3分の1の状態でした。また、新築時のアパートローンが終わっているため、物件を担保に入れれば資金調達が可能な状況でした。これらのことから、借入れを前提に相手の持分を買取ることにより解決する方針を立て、受任しました。(2)訴訟の提起相手に対し、持分を買取るから物件は売却しないことを伝えると、相手は共有物分割請求訴訟を提起して来ました。共有物分割請求は訴訟を提起するのがセオリーのため、想定の範囲内でした。お客様は、アパートを管理し、賃料をすべて受け取っていたため、相手は共有物分割と併せて、賃料の3分の1の支払いを求めて来ました。(3)反訴の提起お客様が賃料をすべて受け取っていたことは事実ですが、その反面、お客様はアパートローン、固定資産税、修繕費など必要経費を全て自腹で支払っていたため、長年にわたって赤字の状態が続いていました。また、賃料収入をすべて自分の収入として申告してきたため、所得税も余分に払ってきました。そこで、反訴を提起し、相手に対して、赤字分の請求を行うとともに、これまでお客様が負担してきた金額について年度ごとの一覧表を作って提出しました。また、裏付としてアパートローンの返済予定表や賃料口座の通帳などを提出しました。更に、物件の査定書を提出し、物件の評価額を争いました。(4)借り入れの必要性相手に対する支払の原資を確保するには、借り入れを行う必要がありました。しかし、アパートローンを借りた時のような大きな銀行は、資金使途が建設資金等でないと貸してくれません。お客様はこれまで小さな金融機関とは取引がなかったので、私が地元の信用金庫を紹介しました。融資が受けられることを証明するために裁判所に融資証明書を提出する必要があるのですが、担当者がこのような融資に慣れておらず、証明書の文言に至るまで私の側で提案しました。(5)和解の成立物件の評価額について交渉の上、相手と折り合いました。お客様がこれまで支出した金額のうち3分の1を相手が負担することで条件交渉が進みました。和解の日までに融資の審査が下り、裁判所に融資証明を提出し、和解が成立しました。

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加藤 尚憲 弁護士からのコメント

信用金庫の融資審査に時間がかかり、和解当日に担当者が裁判所のロビーまで融資証明書を持って来るというドキドキハラハラの展開になりましたが、何とか間に合わせることができました。お客様の赤字分の立証を含め、様々な努力と工夫が必要な案件でしたが、物件の確保という大きな目標を達成することができ、良い思い出になりました。