この事例の依頼主
70代 男性
相談前の状況
相談者様は、40年以上にわたり、前地主に借りた土地上に自宅を建設して夫婦で居住してきましたが、前地主から土地を買い受けた新オーナーから、執拗に立ち退きを要求され、「今すぐに明け渡すなら立退料を支払うが、立ち退かないなら裁判を起こすことになり立退料は支払えなくなる。立ち退きまでの地代も増額する。」などと迫られたことで、精神的に疲弊し、弁護士への相談・依頼に至りました。
解決への流れ
まずは弁護士より相手方に対し、①相談者様が滞りなく地代を支払ってきており本来的に明渡義務がないこと、②提示された立退料についても、相談者様が他に物件を所有しておらず年齢的にも転居が困難であることや借地権価格などに照らすと不相当に少額であることを伝え、立ち退きを拒否しました。従前、相手方は、地代が相場に比して低額であったことなどを理由に、著しく低い金額の立退料を提示していましたが、当方の主張を踏まえ、適正な金額の立退料を提示してきました。そのため、相談者様夫婦としても、立退料と引き換えに土地の明渡に応じることとし(転居先は親族が手配)、和解による解決に至りました。
建物の賃貸借の場合と同様に、土地の賃貸借の場合においても、地主が立ち退きを求めるにあたっては「正当事由」が必要であり、基本的には、地主側が土地を利用したいという理由だけでは正当事由ありとは認められず、立退料の提示をする必要があります。居住用建物や事業用建物を賃借している場合と異なり、土地を賃借している場合は、その権利(借地権)自体に財産的価値が認められるため、多くの裁判例において、立退料の算定にあたってこの借地権の評価額がベースに据えられており、そのほか地主の土地使用の必要性の程度や借主の側の生活状況など様々な事情が考慮されて、立退料の金額が算出されます。こうした事情から、できる限りコストをかけることなく早期に退去させたいとの動機で、高圧的に立ち退きを求める地主は少なくありません。本来的に借主の側は借地借家法という法律により居住の権利が手厚く保護されていますので、安易に退去に応じることのないように、トラブルが生じた場合にはまず弁護士に相談することをお勧めいたします。