この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
従来、A社は、売掛金の未収金がある場合には営業担当が個別に相手方に対して請求書を送付し、支払いがない場合には一定の期間をおいて、さらに、請求書を出すだけという対応をしておりました。何回も支払いをしない業者に対しては、電話をかけたり、会社の代表名義の内容証明を送るなどしておりました。ただ、社内に債権回収のフローを構築していなかったため、個別事案に応じて対応がバラバラになっていました。債権の未収リストを作ってもらったところ、金額の大小はありますが、債権回収が出来ていない業者が20社に膨らんでおり、払っていないにもかかわらず契約解除の手続きも進んでいないという状況でした。
まず、当職としては、個別事案毎にバラバラな対応をしていることが問題であると考え、債権回収のフローを構築しました。債権回収のフローは以下のようなものです。1.まずは、営業担当が「請求書」を出し、期限までに支払いがない場合には、営業担当が架電し、状況を把握する。一括弁済が困難な事案については、分割弁済についての「弁済計画書」を提出させ、その内容が合理的な内容であれば「債務弁済合意書」を署名・押印の上で提出させる。2.上記の対応をしてくれない不誠実な債務者に対しては、債権回収の人員を配置してもらい、その債権回収の担当者が再度、交渉にあたることにしました。その担当者には債権回収のノウハウについての研修を受けて頂き、必要な法律知識も身につけて頂きました。債権回収担当は、顧問弁護士である当職と連絡を取り合い、対応を検討する。3.次のレベルとして、悪質な債務者に対しては、債権回収担当から「リスト」(各段階で債務者の状況をリスト化し、ステータス(交渉状況)も記載をして頂きました。)を送付して頂き、「弁護士名義」での「内容証明」を送付し、文面の中に「2週間以内に対応がない場合には、法的措置(訴訟)を提起する」事を明示し、プレッシャーをかけました。誠実に対応をしてくれた場合には、1と同様に「弁済計画書」を提出してもらい、「債務弁済合意書」を作成し、返済の仕方について合意書を交わす。※「内容証明」の中身についてはある程度のフォーマット化し、事務処理コストを低減しました。これにより費用も低額に抑えることができました。4.それでも対応がない場合には、「法的措置」を講じる事を検討する。これについては、請求金額に応じて「法的措置」のレベルを分けました。と言いますのも、全ての事案について訴訟を提起するというのは、弁護士費用・印紙代等の実費を考えると「費用対効果」の観点から合理的ではないからです。金額に応じて、①「支払督促手続」、②「民事訴訟の提起」を分けました。5.民事訴訟を提起する際の「弁護士費用基準」を事前に明示した上で、「顧問契約」の締結をし、1件あたりの費用を下げることにより、民事訴訟提起にかかる費用を低額に抑えることにいたしました。上記のフローで債権回収にあたったところ、当初は運用にゴタゴタがありましたが、多くの事案は、①債権回収の担当者の段階、②弁護士名義の内容証明が届いた段階で何らかの対応をしてくれる債務者がほとんどでした。債権回収率が大幅に上げることに成功しました。また、副次的効果として、その会社は債権回収をきちんとする会社であると言う認識が広がり、支払いを遅滞したり、支払いが滞る業者が少なくなったという報告も受けております。
債権回収をする際に重要なことは、債権回収のフローをきちんと構築し、仕組み化することです。一度、仕組みが出来てしまえば、それを運用するだけです。債権回収をきちんとする会社であるという認識が広まれば、支払い遅滞等をする債務者も減って行くことだと思われます。ただ、業界の特性やビジネスモデルによっては、必ずしも上記で述べたような債権回収のフローが望ましいわけではありません。まずは、無料法律相談を利用するなどして会社の状況等を伺い、適切な債権回収フローの構築のアドバイスを差し上げることができればと思います。