この事例の依頼主
70代 男性
Aさんは、運送会社を自分で立ち上げて経営をしてきた70代の男性です。Aさんは、自分の健康に不安を持ち始めたことから、会社の将来のことが心配になり、どのように会社を次の世代に引き継がせるかを思い悩んでおりました。①Aさんは、運送会社の株式をほぼ100%所有しているだけでなく、②会社や工場の土地・建物も自己名義で所有していること、③運送会社の借入金についても代表取締役であるAさんが連帯保証していることも多いことから、Aさんに何かがあったときにどうなるのかが心配になり、当職のところに相談に来られました。
当職として、まず、お話したのは、「早めに事業承継と相続の問題で相談に来られてよかった」ということです。何かがあってからではおそいからです。当職がアドバイスしたのは、(1)会社の資産をきちんと整理することです。運送会社の事業に使用している不動産が、Aさんの個人所有の状況になっていたので、その不動産を会社に売却することをまず提案をしました。相続によってその事業用の不動産が家族の相続問題に巻き込まれることになると事業の存続に影響が出てしまうからです。それか、運送会社とAさんとの間で、客観的に見ても公正と言えるような賃貸借契約書を締結しておくことをアドバイスしました。会社と個人が区別できないような会社の場合には、賃貸借契約などを締結しているケースは少ないからです。このような会社の場合には、形式的な賃貸借契約書はあるのだけども、結局はそれは、名ばかりで賃料が相場より非常に安かったり、あるいは、実際には賃料を支払っていないケースなどがあります。次にお話ししたのは、(2)経営者と会社との貸借もできる限り解消するようにすることです。仮に、このような解消ができないほど会社の売り上げ、利益が出ていない場合には、営業の継続自体を再検討することも必要となります。さらに、(3)連帯保証人をはずすように努力することをアドバイスしました。中小企業の場合、会社が借入をする場合には、代表取締役が連帯保証人になっていることが一般的です。この連帯保証債務を引き継がなければならないために、事業の後継者が見つからない場合が多いと言えます。しかし、平成25年に「経営者保証に関するガイドライン」というものが公表されました。それにより、経営者の連帯保証をとらない融資や、既存の保証契約の見直し等の推進の方向が示されおります。ですから、会社の経営者としては、金融機関と交渉をしたり、新規の借入れをすることを通じて、できるだけ連帯保証人をはずすことを考える必要があります。また、(4)会社の事業を承継する者を決めた後は、その事業承継者が会社の株式を相続等によって取得することができるように、①遺言の作成、②生前贈与、③生前の株式譲渡等の方法をとっておくことが大事です。重要なのは、経営者の株式の相続によって、事業承継者が会社経営から排除されたり、相続人間の経営権争いにならないような事前の配慮をすることです。
会社の経営者にとっては、事業を誰にそしてどのように承継させるのかについては悩みの種だと思います。お子さんが親の事業を素直に引き継いでくれるような時代ではなくなってしまいました。経営者の一族と会社の対立というのもよく聞く話です。事前に弁護士に相談をして悩みの種を摘み取っておくことが必要になってくると思います。当職は、事業承継のコンサルタントとして適切なアドバイスをさせていただきます