この事例の依頼主
50代
埼玉県内で建築業を営むA社は、元請業者のB社から注文を受けて、家の建築工事を請け負いました。最初の約束では、必要な建築資材はB社が手配することになっており、工事代金は工事完了時に受け取ることにしました。ところが、工事が進んできた途中になって、B社は、建築資材を買うお金は後で支払うので、A社で建築資材を購入して用意してほしいと言い出しました。A社は、工事が進まずに請負代金を支払ってもらえなくなるのも困るので、やむを得ず自ら資材を購入し、工事を継続しました。建物が完成して、いざ、B社に資材の購入代金500万円と請負代金1600万円を請求しました。ところが、B社の経理担当は、支払いは少し待ってくれというのみで、全く支払いをしてくれません。結局、1ケ月経っても支払いを受けられず、そのうち、B社の経理担当や社長に電話をしても電話に出ない状態になってしまいました。A社は、請負代金も受け取れず、建築資材の購入代金も負担しなければならなくなってしまいました。A社の社員に対する支払いをすることもできなくなってしまい、このまま泣き寝入りするわけにもいきません。そこで、どうにかならないかと思い、A社の社長が当職のところに無料法律相談に来ました。
まず、当職は、無料法律相談に来た社長さんに、B社がどのような取引先と取引をしているのか等の事情を詳しく聴取しました。そうしたところ、あと2週間ほど後に、B社の取引先から2000万円程度の工事代金の入金があるということがわかりました。しかし、B社の社長は、工事代金は自分の会社の給料や別の取引先に対する支払いに充てる必要があるからA社に払う余裕はないとのらりくらりと話をしていたとのことでした。2週間後にB社が取引先から2000万円程度の入金を受けてしまうと、それを他社に対する支払いに充ててしまい、A社が請負工事代金を回収できなくなってしまう可能性が大きい状況でした。その場合に、いくら弁護士がB社に直接請求を行ったり、訴訟を提起しても、判決が出るころには、B社にはお金がまったく残っておらず、「泣き寝入り」しなければならなくなってしまうでしょう。日本の裁判は時間がかかるので、待っていられない状況でした。そこで、当職としては、すぐにA社から事件を受任し、債権回収の手段として2000万円が支払われる前に、工事代金を「仮差押え」することにしました。「仮差押え」というのは、裁判を起こしている争っている余裕がない場合に、緊急の手段として、裁判所の許可を得て、相手の財産を凍結してしまう制度です。今回の場合には、2000万円を支払うB社の取引先に対し、裁判所から、B社への支払うことを禁止する命令を出してもらうわけです。ところが、裁判所から命令がでる前に代金がY社に支払われてしまえば効果がないため、支払われる前に裁判所に仮差押えを認めてもらわなければなりません。当職は、A社とB社の取引内容や、建築資材の購入代金を証明する証拠を用意してもらいました。また、B社の取引先会社の名前や、その2000万円が何の代金であるかも聞き取るなどの準備を進めました。当職は、集めた証拠や聞き取った情報をもとに、A社が相談に来た3日後には仮差押えの申立書を仕上げ、さいたま地方裁判所へ提出しました。その結果、申立書を提出した翌日には仮差押えを認める決定を得ることができました。スピーディーに手続きを進めた結果、B社への支払いがなされる前に請負代金債権の仮差押え手続きが完了し、A社への取引先からの入金を差し止めることに成功しました。当職は、その後、すぐにB社に対して建築資材代金・工事代金等の支払請求訴訟を提起しようと準備をしていました。そうしたところ、仮差押えを受けたB社の社長から当職宛てに連絡してきました。B社の社長が言うには、「すぐに1500万円を支払って、残りの600万円も6回払いで6か月以内に支払うので、仮差押えを取り下げてほしい」と頼んできました。どうやら、仮差押えを受けたことを取引先の会社から「仮差押えをされるような会社とは取引を続けるのは難しい。この件についてきちんと処理をしないようであれば今後の取引は考える」とお灸をすえられたようです。当職としては、まずは1500万円支払ってくれるのであれば、A社も資金繰りに困っていたので、話し合いに応じた方がよいと考え、B社の要望に応じることとしました。そして、仮差押えをした代金から1500万円分をA社が代わりに受け取るのと引き換えに仮差押えを取り下げました。残りの600万円も無事に6回払いで支払ってくれ、A社は最終的には全額回収することに成功しました。
債権回収で一番重要なのは、相手方が一番嫌がるところに法的措置を講じるということです。債務者に対して「支払ってしまった方が得だ」と思わせるのが重要です。訴訟沙汰に手慣れている人にとっては、訴訟を起こされることなど全く気になりません。ノラリクラリと主張をして、訴訟を引き延ばせばその分だけ支払いをすることを遅らせることができるからです。最終的には分割払いで話し合いをすればいいだろうくらいに考えている債務者も多くいることは確かです。日本の裁判は時間がかかるので、裁判を起こすことが一番いい方法であるとは限らないわけです。債権回収はケースバイケースで回収するためにどうしたらいいのかの戦略を立てて、相手方が一番嫌がる手段を講じ、自分に支払わせるように仕向けていくという専門的な分野です。法律相談を躊躇している時間がもったいないので、まずは、無料法律相談を受けてみることをお勧めします。無料法律相談におけるアドバイスを活用して債権を回収することができたという報告も多数受けております。ぜひ、債権回収については専門家のアドバイスを受けてみてください。役に立つ情報を提供できると思います。