この事例の依頼主
60代
A社は、インターネットサービスを提供する会社で、従業員は、15人ほどの会社でした。経理担当をしていたのは、その会社の創業期から会社のメンバーであった50代後半のXさんでした。A社の社長のYさんは、経理をすべてXさんに任せていたため、経理の内容については、一応チェックをしていたものの、Xさんからの報告をそのまま受け入れると言う形で実質的なチェック機能が働いておりませんでした。いつもお世話になっていた税理士の先生が亡くなったために、税理士を返る必要が生じ、税理士を変えたところ、税理士から、社長Yのところに話があり、「合計で1000万円近くの不自然な出費があるが、この件は、社長は把握しているのか」と言う話がありました。税理士によるとどうやら経理担当のXが横領している疑いがあるということでした。社長YがXさんにその旨を指摘したところ、Xは辞職届をその日のうちに提出し、その後、会社から連絡をしても一切の連絡がとれなくなってしまいました。そこで、Yさんが当職のところに相談に来ました。
Yさんとしては、1000万円も横領して黙っているわけにはいかないということでしたので、当職が事件を受任して、Xさんから1000万円の損害賠償請求をすることになりました。当職は、受任後、速やかに相手方に「内容証明郵便」で「受任通知」を送付し、損害賠償として1000万円を請求すると通告をしました。そうしたところ、相手方に代理人が選任され、相手方も弁護士を入れて弁護士同士の交渉をすることになりました。当職としては、損害賠償に対して誠実に対応をして頂ければ、刑事告訴をするつもりはないが、誠実に対応をしない場合には、刑事告訴を辞さないと言う姿勢で交渉に臨みました。横領を為たことを裏付ける資料を提示したところ、相手方としても刑事告訴をされることについては、臨むところではないので誠実に対応をするということでした。幸運なことに、Xさんは中小企業共済に加入しており、退職金として400万円くらいの退職金を受け取ることができる状況でした。そこで、400万円を全て返済に回してもらい、残りの600万円については、月額10万円ずつで5年間で返済をしてもらうことで示談を成立させることができました。
従業員の横領行為に対する対応ポイントは、その従業員が横領行為をしたことを裏付ける資料をどのように収集して、立証できるかです。横領行為にもいろいろなパターンがありますので、そのパターンに応じた資料が必要となります。また、本件のように会社から連絡をしても交渉が進まない場合に、弁護士が介入するとことで、相手方も真剣に事件に向き合うことになり、示談交渉がスムーズに進むことがあります。従業員の横領行為にお悩みの経営者の方は、弁護士に一度ご相談ください。