この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
私はもともとAという会社を経営しておりましたが、2年前にB社に社長として招聘され、2年間代表取締役として経営にあたってきました。しかし、その後B社の筆頭株主である前社長と経営方針をめぐって対立してしまい、代表取締役を解任されてしまいました。私としては解任自体を争うつもりはないのですが、前社長と解任に伴う株式の精算方法を巡って争いになっており困っています。私は、B社の代表取締役に就任する際に、A社の株式を現物出資(株式交換)してB社の株式を取得しております(なお、B社株式には譲渡制限がついています。)。B社は私が社長をしていた2年間でかなり業績が向上し、企業価値も大幅に上がりましたので、B社に私が持っているB社株式を現在の価値で評価しなおして買い取ってもらうのが私の希望です。しかし、前社長は、B社が持っているA社株式と私が持っているB社株式の交換にしか応じられないと言って譲りません。このままだと、私の手元にA社の株式が返ってくるだけで、私の2年間の努力が経済的に全く評価されない結果となってしまうので到底納得できません。どうしたらよいのでしょうか。
解決への流れ
B社が買い取ってくれないので第三者にB社株式の譲渡することにし、B社に株式譲渡を承認するよう請求しました。すると前社長がグループ外に株式が出ることに難色を示し、急に買取に応じると言ってきました。買取価格については、公認会計士に依頼していくつかの方法で株式の適正価格を算定してもらいましたので、その価格をもとに交渉を有利に進めることができました。結果的に希望額に近い金額で株式を買い取ってもらうことができたのでとても満足しています。
本件のように共同経営や企業合併を解消する際に、一番トラブルになることが多いのが株式の精算に関する問題です。特に会社の業績が向上している場合には、株式の買取価格を通じて、その利益(キャピタルゲイン)をどちらが取るかという問題が顕在化することがあります。今回は結果的に話合いで解決しておりますが、有利に話合いを進めるためには「法的にどういった武器があるか?裁判になったら何ができるか?」ということがキーポイントになります。上記のケースでは株式の譲渡承認請求権を上手に使うことにより、前社長側にプレッシャーをかけることができました。また、株式の価格については、公認会計士などの専門家に算定を依頼して、しっかりと根拠に基づいた数字を提示していくことが重要です。こうすることによって万が一裁判になった場合の敗訴リスクを軽減することができます。株式については、最初の資本政策を間違ってしまったために、数年後~数十年後に大きな問題に発展することがよくあります。かかるリスクを軽減するためには、予め株主間契約で共同経営関係を解消する際のルールを取り決めておくという方法も有効です。現実の紛争に発展する前に弁護士に相談されることをおすすめします。